大乗寺の鐘

date:1998.4.8

 大乗寺は江戸時代の金沢の旧市街地からすると、少し郊外にはなれて位置する野田山の山麓にある。野田山は金沢市街を一望することが出来、それゆえか前田家の墓がある。最近は夜景がきれいなことから、若者たちのデートスポットとしても知られている。

 大乗寺は総持寺と同様修行僧が多く居り、冬には町まで托鉢に現れる。寺にいくと在家の信者の方もかなり訪れており、地域に息づいた寺といえる。ここの鐘は歌川広重の錦絵の金城八勝をはじめ、さまざまな人の選による八景に登場している。当時はかなり遠くまで聞こえ、その存在感は大きいものだったろう。

 現在この鐘は参拝者が自由に撞くことが出来る。撞いてよい時間は朝5時30分から夕方7時30分までと決められている。私も鐘を撞いてみた。圧倒的な響きが前身を包み、周りで鳴く鳥の声も、遠くの自動車の音もまったく聞こえなくなり、緩やかに音は減衰してゆく。響きの余韻の中にいると雑念が失せ、心が落ち着いてくる。これもやはり音の力の一つだろう。

朝もやの中の山門朝もやの中の山門

山門に鐘はすえられている山門に鐘はすえられている


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